聖地巡礼は意志をともなう
みなさんは聖地巡礼ってやつしたことありますでしょうか?
僕は訪れた先がたまたまドラマ『Woman』ロケ地(雑司ヶ谷)だったり、アニメの舞台(秩父とか沼津とか)になっていたことはあったのですが、それはいわば偶発的な聖地巡礼で、そんなものは聖地遭遇とでもいったほうがいいものでした。
聖地巡礼というからには、やはり確固たる意志と信仰心をもってなされなければなりません。そんなわけで今回は初めて、出かける前から「今日は聖地巡礼したるぞ」という強い志をもっていってきました。
巡礼地として選んだのは、昨年デビュー30周年の全国都道府県ツアーを終え、今も圧倒的なライブパフォーマンスで日本のロックシーンを刺激し続けているバンド、「エレファントカシマシ」(以下エレカシ)ゆかりの地、北区赤羽にある赤羽台団地周辺です。
いまや51歳になった彼らが出会ったのは、38年前の北区立赤羽台中学校1年6組のクラスメイトとしてでした。その後メジャーになった彼らは、高度経済成長期の象徴であり、幼き日の彼らが住んでいた赤羽台団地で「桜の花、舞い上がる道を」という曲のPVを撮影しています。
このPVに出てくる坂はファンの間で有名な聖地とされています(いるはずです)。できれば、みやじ(宮本浩次の愛称)が立っていた黄色い石(車止め)のうえに立ってみたい!ということで巡礼の旅にでかけることにしたのです。
その場所を求めて
赤羽台団地はJR赤羽駅西口から徒歩5分くらいの台地の上にあります。駅を出て坂を上がると、かなり広い台地が広がり、何棟もの団地群が巨大な遺跡のように並んでいます。それぞれの棟には住人の方がすこしだけ住んでいるようで、取り壊されずに昔のままの姿を残していました。
(Nikon fm3a/nikkor 45mm f2.8/Kodak potra 400)
団地は50くらいの棟からなり、1棟には50世帯くらいが居住できそうですが、現在、住んでいるのは1、2世帯のようで、団地全体のキャパシティにたいしてほとんど人がいない状況でした。(みやじが住んでた10号棟はすでに取り壊し済みとのこと)
ロケ地の坂を探して歩き回りましたが、道幅や手すりなどがちょっと違って、ハズレ続きです。それにしても、歩き回ってもすれ違うのは数人で、駅からほど近いのに異常に静かな空間でした。
休日の午後だというのに団地内の公園には人っ子一人おらず、昭和で時間が止まっているかのような錯覚を覚えます。住人らしき方との遭遇は、回覧板をポストに入れていたおじいさんくらいでした。
(Nikon fm3a/nikkor 45mm f2.8/Kodak potra 400)
団地を歩き回ること40分ほどでしょうか。それらしき坂を発見しました!スマホでyoutubeを見て、柵の形や木の生え方、アングル等を確認し、間違いないと確信。(PVの20秒あたりから出てくる坂)
PVの中でみやじが立っていた黄色い石(車止め)が坂の下の方にあるはずなのですが、いくら探しても見つからず…引っこ抜かれて、あとを埋めた形跡を発見しました。どうやら、ちょっと前に撤去されてしまったようです。残念!
赤羽駅周辺散策
失意のなか団地散策を終えて、向かったのは「昔ながらの喫茶店友路有」(むかしながらのきっさてんとぅもろう)という純喫茶。こちらは赤羽駅東口にあります。
メニューには「先代から味を引き継いだナポリタン」との注記が。ということは、きっとみやじもこれを食べたに違いない!というわけで、一も二もなくいただきました。ウマい!純喫茶はやはりナポリタンかエビピラフに限ります。ビバ昭和。
食後は赤羽駅東口を散策。こちらはヤマハが全国的にやっている音楽教室で、10代のエレカシメンバーがスタジオ練習していたといわれています。きっとRCサクセションのコピーなどを一所懸命やって、キヨシローやチャボになりきっていたのでしょう(たぶん)。
(Nikon fm3a/nikkor 45mm f2.8/Kodak potra 400)
腹ごなしに荒川まで歩いて水門を眺めたり、サイクリングロードを走る少年たちを撮ったりして最終目的地へ向かいました。
純喫茶デア
駅前のアーケード街にある「純喫茶デア」。ここは若かりしエレカシメンバーがたまり場にしていたといわれている聖地オブ聖地のひとつです。こちらも「昔ながらの喫茶店友路有」と同じか、それ以上の昭和感ある店でした。(お店の人によると45年くらいやってるらしいです)
初夏を感じる日差しのなかを歩いてきたので、アイスコーヒーの飲み初めをして、店内を見渡すと…
発見!
はい。左下がみやじのサインです。ちゃんと「宮本浩次」と書いてあります。そしてハービー山口さんが撮ったと思われる写真と一緒に額装されていました。
1998年というから、ちょうど20年前です。エレカシの大ヒット曲「今宵の月のように」が世に出た直後くらいでしょうか。(「北区赤羽」の関連で山田孝之も訪れていたようです。)
お店の方に許可をいただいて撮影し、みやじたちがよく陣取っていた席を教えていただきました。残念ながらその席はほかのお客さんで埋まっていて、案内されたのは隣の席。でも、ちょうどそのお客さんたちが楽し気に話している姿が、メンバーがガヤガヤやってるいるような気がして、何とも言えない、いい気分になりました。
赤羽台団地は駅から近くてEasy GO。ぜひぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか。