引っ越して新しく住処を構えた近所に、昔ながらの写真屋さんがあります。現像や証明写真の業務をこなす傍ら、ロモグラフィーのカメラキットを作る会などをやっている面白い写真屋さんだったようですが、残念なことに今月いっぱいでお店を閉めて練馬に移転するとのお知らせが出ていました。
こちらの写真屋さんはオリンパスの中古フィルムカメラの販売もやっていて、このたび閉店セールということで「OLYMPUS PEN」シリーズが10台あまり特価で売られていました。
しばらくカメラも買っていなかったのですが、お店の主人も物腰の柔らかいステキな人で、お話しも盛り上がったのでついつい財布のひもが緩んでしまいました。
OLYPUS PEN Dです。シリアルナンバーは17万番台。1962年から1966年の間に製造されていた、当時としては高級なハーフカメラと言われています。ハーフカメラとはカンタンに言うと35㎜フィルムを2等分して撮影できるカメラで、36枚撮りのフィルムであれば、2倍の72枚の撮影が可能なカメラです。
当時のカメラとしてはかなり明るい、Zuikoのf1.9、32㎜のレンズを搭載しています。皮も全部張り替えられ、内部清掃もされ、ファインダーも非常にきれいな一台です。レンズの右についているでっぱりは焦点距離の調節ノブで、ピントを合わせるのではなく目測で距離を測って撮影します。
シャッタースピードは1/500まであって、あまり使う機会はないですが、バルブ撮影もできます。ご主人みずから全バラしてメンテしてあるので、絞りもヌルヌルと子気味良く動き、低速シャッターもフィルム巻き上げもばっちりでした。
右端がフィルムカウンターです。三角のちっちゃい針がついているのがカワイイです。メモリも72まであります。中央のメーターは露出計で、カメラ前部にある受光部から入る光量からLV値を測定して、適正露出を図ってくれる機構のようです。
ですが、ふだんから露出計の無いカメラで撮っているので、あまり参考にすることもないかなと個人的には思っています。
Leica M4とのサイズ比較です。手のひらにすっぽり収まるほど小さいですが、このカメラ、400グラム以上はあるとのことで、ズッシリと重いです。しかしこの金属の塊のズッシリとくる感じがホールド感を増し、シャッターを切る際にはとても心強いです。
そして何よりもこのカメラの気に入ったところはシャッター音です。「チッ」という小さい音がして上品にシャッターが切れます。こういうことを言い出したらいよいよヤバイなという感じはしますが。
ビビりなのでまだ外に持ち出して20枚ほどしか撮っていませんが、43㎜のフィルターがつけられるようなので、安いプロテクトフィルターを買ってつけてみたいと思います。
初めてのハーフカメラ、どんな写真が上がってくるか楽しみです。ふつうにカメラを構えると縦位置なのも新鮮。ポケットにも入るサイズなので、ガシガシ使っていけたらと思います。というかガシガシ使わないと72枚をなかなか撮り終えることができません(笑)
このカメラを買った写真屋さんはJR板橋駅前の「彩色兼備」というお店です。1/31まで移転のためセールをやっていて、PENシリーズはすべて税込みで8000円とのことでした。PENをお探しの方は一度足を運ばれるのもいいかもしれません。