さてさていよいよ展示当日の5月26日です。10時ごろから搬入可能ということなので、紙袋につめたパネルを両手に原宿の「デザインフェスタギャラリーイースト」へ。
(デザインフェスタギャラリーの壁はペインティングがすごいです)
(上記の記事は出展準備編です)
搬入
到着すると、すでに出店者向けの展示の際の注意が主催者からされていて、6,7人の輪ができていました。途中から輪に加わり、さも最初からいるようにフムフムと話を聞きました。
注意点は公式サイトにある諸注意の再確認だったので、話が終わるなりセコセコと準備にかかります。水平器なども特に持っていないので、フィーリング水平でパネルを貼っていきます。
僕らのスペースはギャラリーの入り口から一番近い場所で、なかなかの好位置。入ってきた人が全員前を通るゾーンなので、それなりに緊張感もありました。
周りを見回せば慣れた手つきで展示を開始しているほかの出展者の方々が。OHPのフィルムに印刷したり、おびただしい数のL版パネルを立体的に組み合わせたり、ゼラチンシルバープリントのアーティスティックな創作写真(5ケタの値段がついてる!)をレーザー水準器でちゃんと計測して展示したりと、なんだかプロい展示にビビりながらも自分の展示の準備です。ここまできたら腹をくくるしかありません。
Photo Cube
前回のブログ「#Filmisnotdead 出展前夜」では触れなかったのですが、僕の展示にはスクエアにしたパネルのほかに、もう一点の出展物がありました。
こちらは立方体のキューブに写真を貼り付けたキューブ状の展示物で、準備時のメモでは「Photo Cube」という名前にしていました。
写真はそもそも二次元的な表現で、ほとんどの場合、壁のような平面に展示されるのが一般的ですが、そこに何かちょっと一工夫できないかと思ったわけです。
僕の展示タイトルは「するひと People Do Something」ということで、何かをしている人をテーマにしているので、せっかくなので見に来てくれた人がなんらかのアクションを取ることでより「写真を見る」ということに動的な要素を持ち込めないかと考えてのものでした。
モノ自体は発泡スチロールでつくったキューブにスチレンボードのパネルを貼り付けたもので、上面にフックを取り付け、テグスで吊るしただけです。
同一のモデルさんの違うアクションの写真パネルを4面に貼り、上面に「さわる ふれる みる」というメッセージを入れて、触って鑑賞してもらうようにしました。
ちなみに気になって底面を見た人には「いま、あなたは『するひと』です」という言葉をある種のオチとしていれてみました。
展示スペース全体はこんな感じになりました。左側に浮いているように見えるのが「Photo Cube」になります。重量自体はほとんど発泡スチロール製なので非常に軽く、外から入ってくる風やちょっとした人の動きが作り出す風をうけて、ゆらゆらくるくると動いていました。
「いいね」カウンター実装
テーブルにはプリントを依頼した「彩色兼美」さんのサイトのQRとそれぞれの写真の使用機材とフィルムのデータ、コメントノートとカウンターを用意しました。カウンターはあの交通調査などで使うカチカチするやつです。AMAZONで1000円ちょっとで買えます。
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カウンターを置いたのは、自分が展示を見に行った時に感銘を受けたとしても、ノートやアンケート等に何かを書いたりするのはなかなかハードルが高いため、それにかわる何かの足跡のようなものを残していただけたら嬉しいと考えたためです。
オープン
11時からいよいよ写真展がオープンしました。初日は休日ということもあってなかなかの人の入り、僕の展示スペースでも多くの来場者が足を止めて見てくださいました。
事前に知らせておいた友人、被写体になってくださった方、プリントを依頼したラボの「彩色兼美」の方も来てくださって、差し入れまでいただいて本当にありがたかったです。
自分の写真を見てくださってる来場者に声をかけるべきか、かけないべきかとても迷いました。いろいろと説明したほうがいいのか、それとも黙って見ていただいた方がいいのか、写真展示の難しいところです。
聞かれればもちろん、できる限りのことはお話ししたいのですが、結局、友人以外は誰からも特に写真について問われることはなかったので(そもそも僕が出展者だということが一般の方には分からないので)、そのまま見ていただくことにしました。
はじからはじまで丹念に見てくださり、狙い通りにキューブに触れて、まわして、見てくださっている方がいるだけで僕としては大満足でした。
一日目終わってのカウンターが差していた数は「82」でした。嬉しいことにコメントノートにも書き込みが。原宿界隈は外国人が多いエリアではありますが、海外からきてコメントを書いてくださった方もいて、改めてデジタルデータではなく「モノとしての写真という表現」のもつチカラを感じたりもしました。
展示初日の終わりには出展者有志で乾杯をして(スパークリングワインを差し入れしてくださった方、ありがとうございます!)、初めての写真展示の一日目が無事に終わりました。軽い疲労感の中にも満足感のある一日でした。
(ギャラリーの様子)
平日在廊
なか二日をあけて、平日に在廊してみました。展示物が破損していないか、写真がはがれていないかをチェックしにいくという目的もあったのですが、展示した時と同じ状態で壁には無言のモノクロ写真が並び、キューブは風にゆらゆらと揺れていました。
休日だった初日に比べると、ギャラリーは夏の終わりの区民プールのようにひっそりとしていました。途中、外国人のツアー客が団体で来場していましたが、それ以外は本当にちらほらという感じでした。
ほかの方の展示をひととおり拝見し、ギャラリー内をくまなく探検。外国人観光客がちらほらといる以外はとても静かです。僕らの展示スペースへの来場者もいないため、在廊していたほかの出展者とすこし雑談。ギャラリー前のテラスで気持ちのいいコロナビールを1本飲み干し、2時間程度で撤収しました。
最終日
最終日は午後から在廊。また休日で多くの来場者が見えました。コメントノートにいただいた言葉も増え、なんの間違いなのか「いいね」カウンターがまさかの4ケタに。
誰かが間違ってカウンターの横のツマミをまわしてしまったのかもしれないのですが、前回みた時より下2ケタの数字が減っているので、ちょっと現象としては特定できない感じです。
数字が1111になってしまって、そこからまたカウンターが押されて1156という数字になった可能性もありますが、見ていると複数回「いいね」してくださっている来場者もいらしたので、リアルに1156までカウントされたのかもしれません。というかそう思いたいところです。
そして、最終日になって自分の「やらかし」に気づきました。なんと展示ブースに出展者名を記載するのをすっかり忘れていたのです。ギャラリー側で用意していただいた案内図には記載されていたので、情報があるにはあったのですが、やっちまったという感じで、あわてて出展者名をカウンターの横に書きました。
そこここで交わされる写真談義があり、久しぶりに会った方々どうしの近況報告があり、やがてそれらの数が少なくなっていき、展示の終わりが近づいてきました。
夕方ごろから誰とはなしに撤収作業が始まりました。搬入時と違って、水平を出したり、レイアウト構想通りに陳列したり、といったこともないので、ぺりぺりとパネルを剥し、壁に残った「ひっつき虫」を回収し、キューブのテグスを切り、テーブルをたたんだら、もう撤収完了です。
展示が終わった後はギャラリー内にあるダイニングバーのオープンテラスで打ち上げ。ほかの出展者とお話をしているうちに、実はバリバリなプロフォトグラファーの方がいたりしてちょっとビックリ。いや、なんも知らなくてお恥ずかしい限りです。
アルコールも手伝って、ちょっと気が大きくなったところでする写真談義は、とりとめもなく、そして楽しく、初夏の夜の時間はあっという間に過ぎていきました。
それぞれの写真の入った袋を抱え、「またやりましょー!」という、守られるかまだ分からない約束をして帰路へ。こうして僕の初の写真展への出展が終わりました。
まとめ
準備は大変で、お金はそれなりにかかり、展示はやはり緊張するものですが、やはり、参加してよかったと思います。人とつながりができたこともありますが、自分の撮った写真群を、不特定多数の方が、身体性をともなった行為として見ているのを見るというのは、やはり何にも代えがたい経験でした。
反省することもたくさんありますが、あまりシリアスに考えずに、また次の機会があったらゼロからやっていくことにしたいです。
最後になりますが、モデルになってくださったみなさん、主催のデザインフェスタギャラリーさん、僕を誘ってくれた写真仲間、出展者の皆様、そして来場していただいた皆様に感謝を。本当にありがとうございました!
designfestagallery-diary.blogspot.com
デザインフェスタギャラリーさんの公式ブログで、僕の展示についても書いていただきました。多謝多謝!